国際イシュー

米中貿易戦争1、中国が全力で戦う理由

xengom 2019. 6. 24. 00:28

話の前の、この記事で語っているイシューは「正解」が存在しません。

どれが正しいかどれが間違っているのかではなく、人それぞれ意見が違います。

この記事はそのそれぞれの考えをまとめたことに過ぎませんので

「たくさんの人達の考えをまとめた記事なんだ」

程度の認識で読んでください。

 

 

米中貿易戦争。

貿易で食って行く韓国の立場ではかなり大きなイシューです。

どこの新聞も、ニュースもこの話題であふれています。

この貿易戦争はどこから始まったのでしょうか。

まずこの戦争のイニシエーターを紹介致します。

 

トランプ大統領

You're Fired(お前は首だ)で有名な人、トランプ大統領でございます。

米中貿易戦争に付いて語るためにはこの方の性向を先に言わざるを得ないのです。

その性向は2011年、この方が出した著書「Time to get tough」で少し覗くことが出来ます。

著書で彼は「我々が生温い態度を捨て、強気で出ればアメリカは再び富国になれる。」と

「大統領は国家のために大きな取引を成立せる有能な交渉人。」と断言しました。

これは今までのアメリカのような「世界の警察」であり、アメリカの大統領が「世界の実質的大統領」という意見と真逆のスタンス、「ただアメリカの利益が最優先」であります。

それにトランプ大統領は「アメリカがいろんな国に馬鹿みたいにやられる姿を見て世界の馬鹿に転落したと感じる場合があまりにも多い。」と言います。

 

そうです。

2011年からトランプは予告したのです。

自分が大統領になったらかなり痛い目にあうことになると。

そして大統領になった今、この方は昔のアメリカのテレビ番組でやったようにWhite Houseでも「You're Fired」を行っています。(昔、トランプは人々に営業をさせ、上手く出来なかった人に「You're Fire」と言いつつその人を首にして、最後まで生き抜いた人に自分の会社の一つを経営させる芸能番組をやったことあります。)

2年だけで14人の閣僚を変えるくらいにトランプ大統領はアメリカを自分好みで改造している状態なんです。

 

さて、このトランプ大統領が進めているアメリカの政策はただこの方の気まぐれで出来たものなんでしょうか?

結論から言うと違います。

なんと、これらは全部トランプ大統領の選挙公約なんです。

 

トランプ大統領の選挙公約

(*Re-Shoring:海外に出た企業が母国に帰ること)

 

最初にこれを見た人達はいつものように選挙で勝つための公約であり、実際これを行ったりしないだろうと思ったのですが、今振り返ってみるとこれらが全部行われています。

中国への高率の関税は既に高率程度ではなく、国をぶっ壊すレベルの税率ですし(貿易戦争のスタート)、Re-Shoringしない企業もその関税のせいで結局アメリカに帰るしかなくなっています。

そして海外の米軍基地の維持費用をその駐屯国家に要求しています。

雇用創出もアメリカ国内の税率も、破壊的方法で全部やり遂げています。

 

ここまで見たらどっかで見たことあると思いませんか?

そうです。

実はこのような政策はトランプが初めてではないのです。

 

ロナルド・レーガン前大統領

このような経済政策はこのレーガン大統領時代の経済政策と驚くほど似ています。

(移民と財政関連はトランプとちょっと違いますが他はほぼ一緒なんです。)

このレーガン大統領が行った経済政策が「レーガノミクス」です。

簡単に説明すると↓です。

  • 自由貿易:自由貿易の原則で日本・ドイツ・ソ連に強く出る。
  • 自由市場:規制緩和、市場に優しい政策、小さい政府を志向
  • 税金・財政:税金減免、防衛費以外の財政支出を削減
  • 移民:不法移民者170万を救済・包容的移民政策

なんで日本とドイツに強く出たのでしょうか?

簡単です。

日本とドイツは当時アメリカの貿易赤字の最大原因でした。

このレーガン時代にアメリカにアメリカのパンチ(プラザ合意)に殴られたドイツはヨーロッパの患者さんと呼ばれることになり、日本は失われた20年(或いは30年)が始まります。

 

では何故レーガンさんはこのような政策を行ったのでしょうか。

レーガンさんが大統領になる前のアメリカを簡単に説明します。

レーガン集権直前のアメリカ

(*スタグフレーション:Stagnation(不景気)とインフレーション(Inflation)の合成語です。普通の場合、好景気の状態では需要の増加と期待心理で物価が上がり、不景気の状態では需要減少と不安心理で物価が下がりますが、不景気と共に物価が上がる常識外れの現象を言います。)

 

 

その時期のアメリカは不景気でした。

その上にオイルショックまで来てしまってスタグフレーションになったアメリカは当時のG2、ソ連とも競争していたため、軍備は常に増強するしかなかったのです。

でもそれでは財政が耐えれないので軍備の増強の代わりにその損失を減税と日本とドイツを殴ること(プラザ合意)で補おうとします。

結果的には赤字祭り(主に軍備のせい)になったのですが.....

このスノーボールは

ソ連の崩壊

第一の競争相手であるソ連は崩壊(体制自体が崩れました)

 

プラザ合意以後、日本生産品の占有率

日本は失われた20年(或いは30年)が始まり

 

Germany is no longer the sick man of Europe

ドイツはヨーロッパの患者扱いという凄まじい結果を出します。

 

 

まとめるて、レーガン大統領がやり遂げたことは一言で言うと

レーガンの選挙バッジ

MAGA(Make America Great Again)なんです。

トランプのスローガンだと思っていらっしゃら方々が多いのですが、このスローガンはレーガンの時に作られたスローガンです。

この時期のドルの価値を見てみましょう。

 

ドルの価値

 

集権1期ではソ連を倒すために「強いアメリカ」をモットーに出ましたが、上記のように赤字祭りが続くことによって

プラザ合意で円とマルクの価値を上げることで損失を補います。

そしてこの一撃で日本の円とドイツのマルクの価値は

 

85年、円とマルク相場

こうなります。

ここから立ち上げるために日本は安部総理のアベノミクスで今も頑張ってます。

ではドイツは?

ドイツの場合、マルクの代わりにユーロを使うことで日本よりは簡単に回復しました。(今はヨーロッパの患者ではなくヨーロッパのエンジンと呼ばれています。)

 

話が長くなったですね。

本題に戻って何故人たちは今の米中を見てレーガン時代を思い出すのでしょうか。

その理由は

 

85年の日本と現在中国の貿易収支(アメリカ目線)

  1. 今の中国は新しいG2と呼ばれてます(昔のソ連みたいに)
  2. 今の対中国の貿易収支が85年の日本みたいに赤字が段々酷くなっています。
  3. 85年当時のアメリカの政策とほぼ同じである現在のアメリカの政策

この三つです。

 

実はこの中国との貿易戦争の必要性は既に2003年から出た話です。

「1985年プラザ合意の時、日本が円を切り上げたように,中国も人民元を切り上げなければならない。」ー塩川財務大臣

「人民元を切り上げる場合、中国は日本のようにの長期不況が迫る可能性が高い。」ーMckinnonスタンフォード教授

 

さて、ここまで来たら何故中国がアメリカとの貿易戦争で引けないのかそろそろ見当がつくでしょう。

そうです。

中国はアメリカとの交渉が一歩間違えたら新プラザ合意になるかも知れないという心配をしているのです。

この上に中国は未だに共産主義という特殊な政治体制を持っています。

どこかの国と似てませんか?ソ連とか...ソ連とか.....後ソ連とか

中国はアメリカの要求を全部受け入れたら

これ+失われた20年になるかも知らないという状況自体を恐れています。

実際に中国は共産主義体制を守り抜くため、国家が海外のサイトを止めるGreat Firewallを使っています。

このFirewallは文字通り、海外の情報が中国に流れて来ることを止める道具です。

ではこのFirewallを担当する企業はどこでしょう?

それが最近アメリカの鉄槌でつぶれそうになった

 

Huawei

ファーウェイです。

これについてはもっと後で語ることにして、今回はここで終わらせます。

米中貿易戦争2をお楽しみして下さい。